飲食チェーンがAIでシフト作成を自動化、月20時間の削減を実現
都内で8店舗を展開する飲食チェーンA社は、店長が毎週手作業で行っていたシフト作成業務に、AIを活用したシフト自動作成ツールを導入した。結果、店長1人あたり月間約20時間かかっていた作業時間を、月2〜3時間程度まで圧縮できたという。この記事では、A社が導入に至った背景と、実際の運用フロー、導入時につまずいたポイントを紹介する。
きっかけは「店長の疲弊」だった
A社では長年、各店舗の店長がExcelとLINEでのやり取りを組み合わせてシフトを組んでいた。アルバイトの希望シフト収集、急な欠勤対応、労務時間の調整など、店長の勤務時間外の作業として常態化しており、離職の一因にもなっていたという。人事担当者は「店長の負担を減らさなければ、現場のマネジメント品質そのものが落ちる」という危機感から、ツール導入を検討し始めた。
選定の決め手は「導入のしやすさ」
複数のAIシフト管理ツールを比較した結果、A社が最終的に選んだのは、既存の勤怠管理システムとAPI連携ができ、初期設定を外部委託できるサービスだった。社内にIT専任者がいない中小企業にとって、機能の多さよりも「自社だけで運用を回せるか」が重要な判断基準になった。
- 希望シフトの収集はLINE連携フォームで自動化し、店長の入力作業をゼロに
- AIが労働基準法上の上限時間や休憩ルールを自動チェックし、法令違反リスクを軽減
- 欠勤発生時は、条件に合うアルバイトへ自動で打診メッセージを送信
導入で見えてきた課題
一方で、導入直後は現場から「AIが組んだシフトに納得感がない」という声も上がった。個々のアルバイトの相性や店舗特有の事情をAIだけでは汲み取りきれないためだ。A社は運用開始から1カ月間、店長がAIの提案をベースに手直しできる「ハイブリッド運用」期間を設け、徐々にAIの提案精度への信頼を築いていったという。
「最初からAIに任せきりにしようとすると、現場の反発が大きい。まずは店長の仕事を“楽にする道具”として位置づけたことが、定着の分かれ目だった」(A社人事担当者)
中小企業が同様の導入を検討する際のポイント
今回の事例から、規模の近い中小企業が参考にできる点は主に3つある。1つ目は、既存システムとの連携可否を初期段階で確認すること。2つ目は、AIに全てを任せず、現場の裁量を残す移行期間を設けること。3つ目は、効果測定の指標(今回であれば「店長の作業時間」)をあらかじめ決めておくことだ。